第五章 業務提供誘引販売取引

業務提供誘引販売取引をクーリングオフ

(定義)
第五十一条
 この章並びに第六十六条第一項及び第六十七条第一項において「業務提供誘引販売業」とは、物品の販売(そのあつせんを含む。)又は有償で行う役務の提供(そのあつせんを含む。)の事業であつて、その販売の目的物たる物品(以下この章において「商品」という。)又はその提供される役務を利用する業務(その商品の販売若しくはそのあつせん又はその役務の提供若しくはそのあつせんを行う者が自ら提供を行い、又はあつせんを行うものに限る。)に従事することにより得られる利益(以下この章において「業務提供利益」という。)を収受し得ることをもつて相手方を誘引し、その者と特定負担(その商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供をいう。以下この章において同じ。)を伴うその商品の販売若しくはそのあつせん又はその役務の提供若しくはそのあつせんに係る取引(その取引条件の変更を含む。以下「業務提供誘引販売取引」という。)をするものをいう。

第二項
 この章において「取引料」とは、取引料、登録料、保証金その他いかなる名義をもつてするかを問わず、取引をするに際し、又は取引条件を変更するに際し提供される金品をいう。

(禁止行為)
第五十二条
 業務提供誘引販売業を行う者は、その業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引についての契約(その業務提供誘引販売業に関して提供され、又はあつせんされる業務を事業所その他これに類似する施設(以下「事業所等」という。)によらないで行う個人との契約に限る。以下この条において同じ。)の締結について勧誘をするに際し、又はその業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引についての契約の解除を妨げるため、次の事項につき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。
一 商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の種類及びその性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の種類及びこれらの内容に関する事項
二 当該業務提供誘引販売取引に伴う特定負担に関する事項
三 当該契約の解除に関する事項(第五十八条第一項から第三項までの規定に関する事項を含む。)
四 その業務提供誘引販売業に係る業務提供利益に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、その業務提供誘引販売業に関する事項であつて、業務提供誘引販売取引の相手方の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの

第二項
 業務提供誘引販売業を行う者は、その業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引についての契約を締結させ、又はその業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引についての契約の解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。

(業務提供誘引販売取引についての広告)
第五十三条
 業務提供誘引販売業を行う者は、その業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引について広告をするときは、経済産業省令で定めるところにより、当該広告に、その業務提供誘引販売業に関する次の事項を表示しなければならない。
一 商品又は役務の種類
二 当該業務提供誘引販売取引に伴う特定負担に関する事項
三 その業務提供誘引販売業に関して提供し、又はあつせんする業務について広告をするときは、その業務の提供条件
四 前三号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項

第二項
 前項各号に掲げる事項のほか、業務提供誘引販売業を行う者は、その業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引について電磁的方法により広告をするとき(その相手方の求めに応じて広告をするとき、その他の経済産業省令で定めるときを除く。)は、経済産業省令で定めるところにより、当該広告に、その相手方が当該広告に係る業務提供誘引販売業を行う者から電磁的方法による広告の提供を受けることを希望しない旨の意思を表示するための方法を表示しなければならない。

(誇大広告等の禁止)
第五十四条
 業務提供誘引販売業を行う者は、その業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引について広告をするときは、当該業務提供誘引販売取引に伴う特定負担、当該業務提供誘引販売業に係る業務提供利益その他の経済産業省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

(電磁的方法による広告の提供を受けることを希望しない旨の意思の表示を受けている者に対する提供の禁止)
第五十四条の二
 業務提供誘引販売業を行う者は、その業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引について電磁的方法により広告をする場合において、その相手方から第五十三条第二項の規定により電磁的方法による広告の提供を受けることを希望しない旨の意思の表示を受けているときは、その者に対し、電磁的方法による広告の提供を行つてはならない。

(業務提供誘引販売取引における書面の交付)
第五十五条
 業務提供誘引販売業を行う者は、その業務提供誘引販売取引に伴う特定負担をしようとする者(その業務提供誘引販売業に関して提供され、又はあつせんされる業務を事業所等によらないで行う個人に限る。)とその特定負担についての契約を締結しようとするときは、その契約を締結するまでに、経済産業省令で定めるところにより、その業務提供誘引販売業の概要について記載した書面をその者に交付しなければならない。

第二項
 業務提供誘引販売業を行う者は、その業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引についての契約を締結した場合において、その契約の相手方がその業務提供誘引販売業に関して提供され、又はあつせんされる業務を事業所等によらないで行う個人であるときは、遅滞なく、経済産業省令で定めるところにより、次の事項についてその契約の内容を明らかにする書面をその者に交付しなければならない。

一 商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の種類及びその性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の種類及びこれらの内容に関する事項

二 商品若しくは提供される役務を利用する業務の提供又はあつせんについての条件に関する事項

三 当該業務提供誘引販売取引に伴う特定負担に関する事項

四 当該契約の解除に関する事項(第五十八条第一項から第三項までの規定に関する事項を含む。)

五 前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項

(指示)
第五十六条
 主務大臣は、業務提供誘引販売業を行う者が第五十二条から前条までの規定に違反し、又は次に掲げる行為をした場合において、業務提供誘引販売取引の公正及び業務提供誘引販売取引の相手方の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その業務提供誘引販売業を行う者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。
一 その業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引についての契約に基づく債務又はその解除によつて生ずる債務の全部又は一部の履行を拒否し、又は不当に遅延させること。

二 その業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引につき利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供してその業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引についての契約(その業務提供誘引販売業に関して提供され、又はあつせんされる業務を事業所等によらないで行う個人との契約に限る。次号において同じ。)の締結について勧誘をすること。

三 その業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引についての契約を締結しない旨の意思を表示している者に対し、当該契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をすること。

四 前三号に掲げるもののほか、その業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引についての契約に関する行為であつて、業務提供誘引販売取引の公正及び業務提供誘引販売取引の相手方の利益を害するおそれがあるものとして経済産業省令で定めるもの

(業務提供誘引販売取引の停止等)
第五十七条
 主務大臣は、業務提供誘引販売業を行う者が第五十二条から第五十五条までの規定に違反し若しくは前条各号に掲げる行為をした場合において業務提供誘引販売取引の公正及び業務提供誘引販売取引の相手方の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は業務提供誘引販売業を行う者が同条の規定による指示に従わないときは、その業務提供誘引販売業を行う者に対し、一年以内の期間を限り、当該業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引の全部又は一部を停止すべきことを命ずることができる。

第二項
 主務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。

(業務提供誘引販売取引における契約の解除)
第五十八条
 業務提供誘引販売業を行う者がその業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引についての契約を締結した場合におけるその契約の相手方(その業務提供誘引販売業に関して提供され、又はあつせんされる業務を事業所等によらないで行う個人に限る。)は、第五十五条第二項の書面を受領した日から起算して二十日を経過したときを除き、書面によりその契約の解除を行うことができる。この場合において、その業務提供誘引販売業を行う者は、その契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。

第二項
 前項の契約の解除は、その契約の解除を行う旨の書面を発した時に、その効力を生ずる。

第三項
 第一項の契約の解除があつた場合において、その契約に係る商品の引渡しが既にされているときは、その引取りに要する費用は、その業務提供誘引販売業を行う者の負担とする。

第四項
 前三項の規定に反する特約でその契約の相手方に不利なものは、無効とする。

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